バウムテストは人格診断法。

一.ゴッホの描画全体からバウムを見出すと,左傾か,左を指す幹・枝がほとんどだった。この事をバウムテストを体系づけたコッホ(Koch)の原法に従って

解釈すると,ゴッホのパーソナリテイは「内向性の傾向」となる。

ゴッホの書簡【ファン・ゴッホ書簡全集 単行本 – 1984ファン・ゴッホ (著), 二見 史郎 (翻訳)】からは,「ぼくが本を読んでいると,時々ほとんど無意識に小さなスケッチを描くというのは,実に奇妙な事実だ」と弟テオにアムステルダムから書き送っている。この手紙から,ゴッホは言語刺激によって,無意識の世界から湧き上がるイメージを自動的に絵にし,その内側で起こった行為のプロセスを客観的に見つめていた。従って、この事からも、ゴッホは内向的であるとわかる。実際,表 2)の「ハーグの廷内池」のバウムにも左側への傾斜があり,「内向性の傾向」が窺われる。また,バウムからは抑圧の徴候も表れているが,この時点では生活上の破綻をうかがわせる記述による資料は無い。日常生活で未だ強い精神病徴候は表れていなかった。

二.バウムテストの完成者コッホとは別に、ユングの分析心理学を基底に置き、樹木画を研究したボーランダー(Bolander,1977)は,Hammer(1958)の言葉を引用して以下の様に述べている。「樹木画は,自分についての比較的深層にあって無意識の感情を反映し,人物画は自分自身や自分と環境の関係についての,かなり意識された見方を伝えている。<中略>より根本的かつ自然な植物である木は,パーソナリテイの深層の感情を投影するのに適したシンボルである」ゴッホは人物画である自画像も、樹木画も多く描い。意識化された心の層の反映を自画像に、無意識の心の層を樹木画に投影したと考えられる。

多くのゴッホの描かれた木々は左へ傾いていたり、左の動勢が観察される。希に右へ傾く樹もあるが、画面構成上のバランスを取るためであったり、希な場合である。

心のキーステーション

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