「ゴッホの木を読む」・・本に・・・−バウムテスト解釈をベースにして−以下の表紙で製本に向けて90%出来上がりました。ブログに書いてきたものに足して・・・Amazonで購入出来るように考え中です。29Aug2017
8月のアートセラピー花火です。暑くてバテ気味の中、不自由のある方々とサポーターの方々がアートセラピーでコラボしました。サポーターの方が巧みに鮮やかに手を添えると、不自由な手が動き・・笑顔が生まれました。皆で声掛けして・・・こころを重ねる中に次々とアートが生まれました。感動が膨らみました。その内、感動を超えて心が浄化されていきました。最後にピュアになって感謝、感謝のアートセラピーになりました。21Aug2017
ゴッホのバウムをバウムテストで・・・おわりに3) ゴッホのバウムを使って、バウムテストの視点からパーソナリテイ理解を進める中に,彼の生涯には様々な切り口が存在する事がわかった。記述的資料からは、①〜⑨が浮かんだ。①ゴッホには,生後間もなく死んだ一歳上で同じ誕生日の兄がいた。その兄の墓はゴッホの父が牧師を務める教会の墓地にあり、ゴッホが毎日の様にその前を歩いたこと。②ゴッホと母親との稀薄な母子関係。③唯一のゴッホ芸術の理解者であった弟テオとの兄弟関係。④ゴーガンとの友人関係。⑤耳切事件の真相。⑥夭折した原因。⑦死因説,自殺か他殺か。頭でなく,腹,あるいは,胸を撃っている。⑧失恋,失業,貧困生活,異国での死等の悲劇。⑨精神病と天才 等々である。また,描画からの考察は,①〜...19Aug2017
ゴッホのバウムに焦点を合わせて おわりに1)ゴッホの描画の中で特に樹木画部分に焦点を当てて考察を進めて来たことは,バウムテストの応用性も保証したと思われる。ゴッホの複雑に変遷した生涯は、ある程度整理され、把握し易くなったと思う。 ゴッホは10年間で約2000点の絵画を描いたと言われるが,画集になって調査対象に出来た作品は少なかった。しかしゴッホの絵画群は既に評価され選別されていたので,彼のパーソナリテイ—が把握しやすかった。また,ゴッホの遺した多くの記述資料は,炎の人ゴッホのイメージを変えた。倫理観を有し,訴訟について語る現実的な面や,家族に思いやりを示す人間味を有するゴッホ像が浮上した。文筆力と読書力は豊かで知性があって,理性を欠いた耳切事件の「炎の画家」イメ...18Aug2017
ゴッホの生涯について 1853年3月30日生まれ。父はオランダプロテスタントの牧師。ゴッホ自身も信仰心は篤かった。6人兄弟の長男。不思議なことだったが、ゴッホの誕生一年前に、全く同日に生まれて、直ぐに亡くなったヴィンセント(勝利者)という同名の兄がいた。因みに,祖父,伯父も同名だった。ゴッホの家はオランダの名門で、大蔵大臣、ブラジル総領事、イギリスへの全権を勤めた外交官を輩出し、伯父達は海軍将官,王室御用達の大画商だった。また、母方祖父は当時権威のあった宮廷の製本職人だった。一方、父親だけが、貧しい田舎の牧師だった。 ゴッホは顔が母親似で,読書家で描画に親しんだ面も母親譲りと言われている。しかし,母は「あまり可愛げが無い」と手を焼いて,よくゴッホを罰...17Aug2017
ゴッホの木に見る筆致・・・ ボーランダー(1977)が筆跡学的な視点について次の様に述べている。「絵をつくりあげるストロークの用い方を質的・形式的な見地から綿密に検討することは非常に重要である。しかし,描画の解釈に於いて,ストロークの性質やラインの形の評価ほど,記述や図解が難しく,明確に呈示しにくいものはない」と述べている。そうした難しさはストロークやラインにある直接的な表現要素から来ると思われる。実際の描画に接した場合,描き手(クライエント)と分析者(セラピスト)の情動が共動すれば,呼吸までも伝わって理解出来る様な気がする。理解には主観的に成らざるを得ない側面が残る。ストロークやラインについて、ボーランダー(1977)は,「ライン自体が感情のトーンを表現す...16Aug2017
ゴッホの木、その深い意味【炎のような樹冠型・イチイの型】(イチイ、糸杉、西洋ネズ): 糸杉は自殺の約1年前のサン・レミ以降に、病態が重くなってからモチーフとして選ばれた。若い時は葉の茂みの無い、痛々しく剥き出しに描かれた細長い幹は殆ど隠され、糸杉の火炎の様な樹冠に取って変わった。サン・レミ(精神病院)時代がゴッホ芸術のピークだと言われているが、表36)「星月夜」の糸杉は渦巻きの様な星に黒々として漂うかのような糸杉で、下図のムンクの樹木に通じる生命の深いところからの噴出が描き出されているように見える。この頃、発作が繰り返され、サン・レミの精神病院に収容されている中で描かれていた。 ボーランダ—(1977)は、「糸杉を描く人は、情緒領域と精神領域の...15Aug2017
ゴッホの木-バウムテスト分析解釈(部分)注}ボーランダー、コッホ等の分析解釈表による <生い立ち(ズンデルト時代) >1853年3月~1869年7月1) 11歳 父の誕生プレゼント バウム分析 「農家と納屋」(1864) (下図①) ・幹:ほぼ樹冠と幹で木全体を二分している。年齢の割に幹が長く精神的発達の幼さの可能性が感じられる。・小高い位置に立ち、孤立が暗示されている。:幹の中央辺にくびれが見られ、恥ずかしがりで、鬱積し抑圧された感情が暗示されている。・樹冠:二つに分かれ、間で幹が少しだけ見えている。自信が無く、自分を未だ見せられないと窺える。・右への傾向:未だ右傾で、献身的、愛情深く他人へ関心を持つ活動意欲が窺われる。記述による資料1)第一子が死産だった為...14Aug2017
バウムテストは人格診断法。一.ゴッホの描画全体からバウムを見出すと,左傾か,左を指す幹・枝がほとんどだった。この事をバウムテストを体系づけたコッホ(Koch)の原法に従って解釈すると,ゴッホのパーソナリテイは「内向性の傾向」となる。ゴッホの書簡【ファン・ゴッホ書簡全集 単行本 – 1984ファン・ゴッホ (著), 二見 史郎 (翻訳)】からは,「ぼくが本を読んでいると,時々ほとんど無意識に小さなスケッチを描くというのは,実に奇妙な事実だ」と弟テオにアムステルダムから書き送っている。この手紙から,ゴッホは言語刺激によって,無意識の世界から湧き上がるイメージを自動的に絵にし,その内側で起こった行為のプロセスを客観的に見つめていた。従って、この事からも、ゴッホは内...12Aug2017
ゴッホの木。どう読むか・・・ 先ず、ゴッホの描画をその年齢順に分けてみた。その上で、描画に描かれている木(バウム)に注目した。すると見えてきたものは、年代毎に彼の木の特徴が変わって行ったことだった。その木(バウム)を抽出し、コッホやボーランダー等のバウム解釈表(指標)を使って分析を行ってみた。さらに,そうした描画と同時期に書かれた書簡や文献資料を読み、ゴッホのパーソナリテイーの変化を立体的に把握しようと試みた。それらをまとめて記載し,二側面からの比較対照表を作成した。整理した表を作成する事で、ゴッホの心の発達状態から,混乱した精神状態への変化が表われて来た。ゴッホの描画の中の樹木を,バウム指標を適用して解釈した場合と,手紙や伝記(資料)等から類推した場合は、...11Aug2017
ゴッホの木を、バウムテストで読み解く・・ 臨床心理の現場ではバウムテストはよく用いられています。バウムテストでは実のなる木を一本描いて貰うのが主流ですが、単なる木とだけ言う場合もあります。また、1本描いた後に、2本目を描いてもらったり、3本目を描いて貰うテストもあります。そこまで多様にしても、用いやすいのは何故でしょうか。自ずと自分が投映、映し出されてしまう木を分析解釈するのは容易い事と,何よりも「樹木を描くこと」に,親しみ易さが有ると思われます。元より、「樹木を描くこと」に,何か深い意味が存在しているのかもしれません。人が原始より共にあった樹木に原初的で象徴的なイメージを見て,オートマテイックに自己を重ねることがあるのではないでしょうか。ゴッホの場合も樹木を沢山描き残し...10Aug2017